西千葉工作室というプロジェクトのはなしです。
2012年4月の発足時から現在に至るまで、このプロジェクトに参加しています。はじめ、構想を重ねるものの、結局は金銭的課題やそもそもメンバーの手が回らなかったりでしばらく停滞(と共に私はフィンランドへ逃亡)。2013年7月、突如、支援をしてくれるかもしれないという方が現れて、本格的に話が動き出す。何度も企画書を書いて、建築系の友達の力をかりて改装計画もしました。2014年6月ようやくオープンを迎えてからも、まだまだ手探りの中で少しずつお店の体制を整える、トライ・アンド・エラーの日々を送っています。
私にとって、信頼できるメンバーと初期から関わり続けている思い入れの深いプロジェクトで、5月上旬に就職活動が終わってからは、ますます毎日、このことばかり考えています。(蛇足ですが、来年からは働く場や教育空間のデザインについて考える人になる予定です。)卒業までの残りの10ヶ月間、できるかぎりの時間と労力をこの西千葉工作室にあてるため、いまは西千葉のシェアハウスに引っ越して、修士論文もこのプロジェクトの内容を反映できるようなテーマに方向づけました。こんな言い方をしたら大げさだけれど、この西千葉での7年間の集大成と言えるくらい、これまでの全てが今ここに繋がっているということを、ちいさな出来事の積み重ねの中で実感する日々です。
さて今こういった市民工房の取り組みは、日本のみならず世界各地にて様々な形で実装されています。それぞれがすこしずつ異なるビジョンを思い描いていますが、わたし達は、まちの機能として工作室という「つくる」ばしょを地域で所有することの意味について、「まちへの誇り」という言葉を切り口として考えています。自分の生活を自分の手でかたちづくる行為が、生活への誇り、地域への誇りに繋がったら。そんな未来を夢見ています。
駆け出しのこの場所で、現時点でやれていることはまだまだ「自分の生活を自分の手でかたちづくる行為」には程遠い、お楽しみ要素の高い「イベント」としてのつくる行為で、そしてそのクオリティも決して高いと言えるものにはなっていません。けれど、それでも、楽しんでくれる人はいて、少しずつ利用者が増えてきていることも事実です。当初、生活の中にある「つくる」の価値を語っているにも関わらず、イベントとしての「つくる」ばかりが先行していることに、ちょっとした違和感を感じていました。だけど、誰だって最初は簡単なところから、ものづくりの階段を登っていくものです。お楽しみものづくりを続けることが生活をかたちづくることに繋がるのかどうかは、まだ分からないけれど、少なくともはじめの一歩を踏み出す場所として、ここが機能すればいい。
そんなことをモンヤリ考えながら、先日FabLabジャパン発起人の田中浩也さんのトークをききにいったら、はっとするセリフがありました。(フューチャーセンターが「おしゃべりしておわり」の場なら、FabLabは「つくっておわり」の場なのでは、という文脈の中で)「つくってみた」のその先にあるのは、「つかってみた」である、と。そこまでやってはじめて、ものづくりのスパイラルは回り始める。つくる行為自体はお楽しみでもその先につかう行為があれば、それは生活の一部になりうる。その先に「つかう」という行為が見える「つくる」を丁寧に続けていくことが、今の私達にできることなのかもしれない。自分でつくるという選択を持つことが、人々の生活や心の豊かさとなりますようにと願って。